memo

2024年11月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

同人,お知らせ

2024年11月30日(土) 22:53:50



れみのそうさくむら第十寄合参加してきました。
当日はありがとうございました!
とりあえずこれで今年の直接参加のイベントは終わったので、あとは適当に過ごそうと思います。


委託の方でイベントで12月8日にみちのくCOMITIA13に参加します。委託9です。一応お品書きつくりましたので、よかったらよろしくお願いします。


20241130224539-admin.jpg



あとは年末に迷ってたwebイベントに結局参加することに決めたのがあったりとか。そんな感じです。新しいものはないのでwebイベントが近くなったらまたお知らせします。


同人,お知らせ

2024年11月20日(水) 22:12:34



とりあえずイベント参加のお知らせのみ。

11月24日開催のれみのそうさくむら-第十寄合-にサークル参加します。スペースは24です。会場は札幌市民交流プラザ3階のクリエイティブスタジオになります。よろしくお願いします。

今回は15~19時開催のイベントになるので、もしかすると終盤30分くらい早めに撤収するかもしれないです。とはいえ折角の第10回なので参加してお祝いしてきたいです。れみむら初売りは先月の北ティア新刊の「レラカムイ」になります。他に新しいものは特にないです。委託は来月のみちのくコミティアがあるけど、直接参加のイベントは今回のれみむらで今年最後になります。それ以降のイベント参加は年明けになります。ていうかもう年末なのかよ……


という感じですけどもよろしくお願いします。



wavebox応援ありがとうございます!

歴史、神話

2024年11月12日(火) 23:11:03



読んでも読まなくても別に困らないような10月新刊「レラカムイ」のおまけ的な話。


アイヌ民話、神話系で登場する英雄神で真っ先に名前が挙がるのはおそらくオキクルミだと思います。オキキリムイ等の表記の場合もあるし、諸説あるるけどアイヌラックル(人間くさい神の意味)と同一視される神とのこと。アイヌ創世神話並びにアイヌラックルの一連の物語は平凡社ライブラリーの「カムイ・ユーカラ(山本多助著)」に詳しく乗っているので興味がある方はそちらを読まれると良いです。私の説明だと分かりづらいと思うし。

ところで、このオキクルミが北海道全域で一番の英雄神とされているのかというとそうではなくて、東西で違いがあるそうです。どこを起点にしているかは判然とはしないけど(日高山脈だろうか)大まかに西側の英雄神はオキクルミ、東側の英雄神はサマイクルになる。で、物語の中にはオキクルミとサマイクル二人ともが出てくる話もあって、オキクルミが偉い地方の話ではサマイクルは愚か者に、逆にサマイクルが偉い地域の話ではオキクルミが愚か者になるわけです。
色んな話を読んでいると登場人物のオキクルミとサマイクルの名前を入れ替えただけの話もたしかあって、元の話の成立は西か東かはわからないけど人の移動と共に物語も移動してるのが分かるのは面白いです。

ちなみにアイヌ民話の小話的な物も読んでいると日本神話の因幡の白兎なんかもあったりして、なんかケルト神話のオシーンの話と浦島太郎が似ているとかいう話も伝言ゲームという意味では一緒なんだろうなと思ったりはします。アイヌ民話の方も元々は中国やインドの話が元ではないかと思われているものも一部あるらしいし。


アイヌ関係を調べると英雄神と言えばオキクルミ的な感じになってしまうのは、おそらくアイヌ関係の知識人の有名どころが西側出身で自然と西側の物語が多く集まったからではないかと思います。知里姉弟然り萱野茂然り。
今回資料として使った本の編者の更科源蔵は東側の方の民話等を収集していた人で、今回の作品の元の題材の話も北見市で収集した話でした。道東の方はなかなか取材に行けないし伝承もある程度は移動はしているであろうから、できる範囲でということで中央部の話にすることにしたということです。安易に茅葺のチセを描いたりしないとか、その辺は気を付けたんですが。


あんまり長くなるとくどいし読む気もなくなると思うのであとは資料関係の話をざっくりして終わるけど、アイヌ関係の図録っていうのがあんまりなかったりするんですよね。以前函館の北方民族資料館で手に入れたのが2800円くらいだったけど凄く良かったので、お勧めしたいんだけど久しぶりに資料館のサイトを見たら存在すらなくなっていたので多分売り切れたのだと思う。残念だ。
ただ、北方民族資料館の冊子で「アイヌ風俗12か月屏風」っていうのはあるのでこっちをお勧めしておく。アイヌ絵の資料って基本高いんだよ。学術系資料しかなくて。あとは変な何…トンデモ本的なやつが出てきたりするから私はお勧めしない。函館の北方民族資料館の「アイヌ風俗12か月屏風」は300円だ。資料館に電話やメールで連絡すると遠方の人でも買えるらしいです。ついでに「アイヌ衣装の世界」ってやつも買ったらいいと思う。私が行った時はこれはなかったから持ってないけど。

安いけど意外と使えるかもと思ったのは白老の陣屋資料館で売ってる100円資料。「白老町の文化財ガイドブック」ってやつ。これで君も白老博士だ。まあ、そんなこと書いてないけど。は、いいんだけどこれ陣屋資料館じゃないと買えないんだよね。資料館はちょっと行きづらい場所にあるのでウポポイや駅の近くの物産館のポロトミンタラでも売ってくれたらいいと思う…実は売ってるのか?こっちも電話したら遠方の人でも売ってくれるんじゃないかな。まあ、やってみてくれ。健闘を祈る。



文章が長くなってしまったし落書きでも置いておこう。

20241112223600-admin.jpg


ちなみに子供の髪型は北見方面だともう少し、前髪と後ろの髪の間の剃ってある場所の面積が狭い感じらしい。形はこれと一緒だけど。




wavebox絵文字ありがとうございます!

2024年10月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

同人,お知らせ

2024年10月30日(水) 23:12:40



北海道COMITIA20参加してきました。
当日はスペースにお越しくださいましてありがとうございました!新刊も既刊も見ていただけて良かったです。


今回の北ティアは20回、10周年記念ということだったので、久しぶりの参加の人等にも会えて楽しかったです。


とりあえずギリギリのスケジュールでなんとか関西と北海道のコミティアに2週連続で参加しましたが、とりあえずは無事終わって良かったです。あ、新刊の通販も開始しました。気が向いたらよろしくお願いします。



お礼絵みたいなやつ。

20241030231811-admin.jpg




ちなみに今回の新刊ですが、風の神の方もサマイクルの方もどちらも年齢的には30歳前後を想定していたんですが、髭を描くとやっぱり渋い感じにはなりますね。高校の時に歴史の授業の時に聞いた、明治時代の政治家等は童顔でナメられないように頑張って髭を生やしてた的な話を思い出しますけど、髭を生やすことの難点といえば沢山生やすと顔の判別がつきづらくなるところかなあ、と思ったりはします。描き分けを意識しつつ髭を描くのは難しいなあと思う。



話が変わりますが、既刊について。「太陽と月」があと残り2冊です。再販予定はありませんので、興味がありましたら宜しくお願いします。他に残数が少ないものは「Miroirs」が残り5冊、まだもう少し持ちそうなので残数ありの表記にはしていますが「やまとは くにのまほろば」が残り11冊になります。演劇本も残り3部になりますが、こちらは時間を置いて再販しようかなと。またどこかのタイミングで演劇本2みたいなゆるい本を出すときに再販する感じになると思います。とりあえずそれまでは再販保留にします。


ここからは独り言に近いですが他の既刊については、「銀の笛と螺旋階段」と「錬金術」の残数がほぼ同じ。「君は天使」と「星売り」が先の2種よりは少し多めだけど残数ほぼ同じ。コロナ禍に発行したので弱気な部数しか刷っていない「常世の国」は「錬金術」よりは残数少な目。ちなみに2016年発行の「錬金術」と2023年発行の「星売り」は発行部数が同じなのだけど、残数がもう少しで並びそうで、「星売り」を読んでいただけていて有難い反面、「錬金術」の装丁部分の失敗とか色々考えてはしまう。そもそも地味な絵が濃い赤に埋もれてしまってるかも、と結構最近になって気が付いた。そんな感じではあるんですけど、良かったら「錬金術」宜しくお願いします。



次回イベントは11月24日のれみ村になります。今年最後の直接参加のイベントです。近くなったらまたお知らせしますが、それまでのんびりしてます。


同人,お知らせ

2024年10月21日(月) 23:02:41



関西コミティア71参加してきました。当日はありがとうございました。
前日は生憎の雨だったので当日もどうなることかとは思っていたんですが、なんとか晴れて良かったです。本も手に取っていただけて良かったです。

関西コミティアは今回で2回目の参加ですが、北ティアとも雰囲気が違って色々面白いです。自分の事で手一杯であんまりゆっくり見られないのが惜しいけど。自分の場合、秋が一番行きやすいのでまた来年も行くとすれば京都開催の時になりそうですが、どこかで機会があれば大阪の方も行ってみたいです。ただ真冬は色々こっちの天候が厳しいので、行くとすれば5月なのかなあ……。


それと珍しくイベント参加1週間後にまたイベントなんですが、10月27日に札幌コンベンションセンターで開催の北海道COMITIA20に参加します。スペースD17ですのでよろしくお願いします。新刊は「レラカムイ」です。本は今日届きました。表紙は今回高彩度印刷の方にしてみたので実際の絵よりは明るめの色だけど、綺麗に印刷されていて嬉しい。


表紙これですのでよろしくお願いします。


20241021224550-admin.jpg





同人,お知らせ

2024年10月12日(土) 23:16:01



北海道COMITIA20発行予定の新刊「レラカムイ」の入稿終わりました。何も言えねえ。
いや感無量なのではなくて、終盤根を詰めて脳みそがオーバーヒートしてしまい言葉が特に出てこないだけだ。なので今はちょっと休んでる。仕事は行っているから問題ない…と思う。


アイヌものまた描きたいなあ、と思っていたので描けて良かった。
「ルルイとハウベカ」を描いた後、この作品を描くこととは関係なしにアイヌ資料館等またちょこちょこ行ってきたので、その時に手に入れた資料などが役に立って良かったと思う。一人で行った場所もあるけど友人同伴で行った場所もあり、その際に付き合ってくれた友人等には感謝。おかげで笹葺きのチセも丸木舟も描けましたよ。

なんとか早割的な日程で入稿はできたけど締め切りに余裕を持って入稿できたわけではないので、関西コミティア71へのフライング持ち込みは厳しいかも。予定通り北海道COMITIA20の新刊として出す感じになりそうです。




作品のことは今はなんかもう、何も言えねえなのであとはイベント参加のお知らせします。

10月20日京都パルスプラザで開催の関西コミティア71に参加します。B33にいますのでよろしくお願いします。
関西コミティア初売りは今年6月発行した「髑髏」になります。帰りの交通機関の都合などで昨年と同じで撤収はおそらく14時頃になると思います。

あと個人的なことですがたなかいました。
探してたんですよ田中。探していた田中がいました。
じゃなくてスペース用の棚買いました。本増えてきたしそろそろ欲しいと思ってたんだよね。
段ボール製のとか金属製のとか色々迷ったけど、栄光で売ってた木製というか合板のやつにした。折りたたんだり解体した時にこれが一番小さく持ち運べそうだと思ったんだよね。接続部がちょっと固い感じはするけど作りはしっかりしてるし、とりあえず使ってみよう。



何も言えねえので寝てきます。

2024年9月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

同人

2024年9月30日(月) 20:08:45



BOX of BLOCKsとえべつ同人マーケット、ピロス同人マーケットそれぞれ参加してきました。イベント当日はありとうございました!

BOX of BLOCKsはweb用の作品を出されている方も多くて見る側としても楽しかったですし、えべつ同人マーケットの方はなんとか顔出しもできたのでそちらもひとまず良かったのかなと。えべつ同人マーケットが参加してるえべつマルシェは方は会場そのものは凄く分かりやすかったです。高校の緑地でやるイベントってどんな感じだろうと思ったけど、クラフト系や体験系のブースもあって面白かったです。高校生が作ったライスコロッケ食べてきた。ピロスの方も機会があればまた今後顔出ししたいです。


とりあえず取り急ぎっぽい感じで申し訳ないですが、次のイベント参加予定は関西コミティア71です。イベント近くなったらまたお知らせします。北海道COMITIA20の新刊の入稿が早めに終わって、尚且つ本が早めに郵送されてきたら関西コミティアにもちょっと持ってくかもしれないですが正直なんとも言えないです。とりあえずもうそろそろ仕上げに入れそうではある。なのでもうちょっと描いてくるわ。


同人,お知らせ

2024年9月10日(火) 22:46:12



webや委託等ですがイベントの参加予定があるのでお知らせ。

pictSQUARE内で9月14日8時~9月15日20時まで開催の創作漫画オンリーイベントBOX of BLOCKs にサークル参加します。スペースはエリアAのけ2になります。
新しいものは特にはないですが、今年は一次でwebイベまだ出てなかった気がしたので折角だから出よう、みたいな感じですがよかったらよろしくお願いします。いつも通り演劇本以外は全て通販できます。


折角なのでイベント用に配布されていたテンプレでお品書き作ってみた。

202409102230041-admin.jpg



あと翌週の9月22日と9月23日にえべつ同人マーケット、ピロス同人マーケットに参加しますので、こちらについては江別もしくは新札幌に行ける方いましたらよかったら良しくお願いします。

9月22日の会場はえべつマルシェ内とのことで、とわの森三愛高校の屋外運用地になります。小雨くらいまでであれば開催されるそうです。とはいえ晴れると良いですね。食品系とかクラフトグッズ等もあるようです。大麻駅から徒歩3分。

9月23日の方は新札幌のカラオケピロス内です。
2種委託。一応こちらの分のお品書きも置いておきます。

20240910223004-admin.jpg





どっちか顔出せればいいけどなー。


あ、更新は明日か明後日やります。

感想

2024年9月8日(日) 22:31:07



先月、札幌演劇シーズンのラストを見届けて来たので残りの感想でも。
サテライトの方はまだやっているけど。カラクリヌードのワークショップ公演もこれからだし、若いキャストのはち切れんばかりの演技が見てえよお…って感じなら今からでもまだ間に合う。自分はとりあえずスケジュール等が微妙で行けなそうだけど。でも見てたらメインプログラムの時と違うキャラクターがいたりして気にはなるんだよね。見比べるの面白そう。

ではとりあえず見て来た残り2作の感想。



「9人の迷える沖縄人~after'72~」
沖縄芸術文化の箱の公演。劇作家の所属などは「劇艶おとな団」と出ているし沖縄芸術文化の箱とはなんぞや、と思って調べてみたらこちらで言うところの北海道演劇財団的なものだということがわかった。ということで多分良いんだよね?

「9人の迷える沖縄人~after'72~」は劇艶おとな団が2016年に沖縄で公演。その後沖縄県内等で話題になり県内外での再演を経て、今回札幌での招待講演になったとかそんな感じだそうです。

演劇の内容は一言で言うとまさしく「沖縄」そのものというか。
1972年の沖縄復帰を目前にしたある日、とある新聞社の一室に無作為に県民が集められた。集められた人々は老婆や有識者や本土人や琉球舞踊家や主婦等様々。その無作為に集められた沖縄の住民たちに本土復帰についてどう思うか、意見交換をしてほしいというのが新聞社の狙い。意見交換会はどんな様子になるのだろうか。というのがざっくりとしたあらすじ。

しかしこれ、この演劇の半分くらいの要素でしかなくて、実はあらすじの部分は劇中劇なんだよね。実は沖縄のある劇団が1972年の本土復帰を題材に演劇をしましょう!という物語で、意見交換会の部分は劇団の練習風景や本番の一部、といった見せ方。
最初は「じゃ、そろそろ休憩にしましょう!」と言った時に突然和気あいあいとするので、どうした?と思ったら途中で見方が分かって、ああそういうことか!と思った。現代の時間軸のところは普通の沖縄あるあるっぽい雑談が中心で、海洋博の話とか、本土復帰後を知っている年代の話とか色んな情報が飛び交っていて面白かった。

で、1972年の劇中劇のシーンと現代のシーンを繰り返しているうちに、だんだんとその境目が合間になっていく。本土復帰前の世界と現代が時間を飛び越えてどんどんつながっていく構成は面白かった。終盤、一人の団員が劇の内容や、本土復帰後の現代はこれで良かったのかという話で他の団員と揉めることになるんだけど終盤の「俺の母親は米軍基地で働きながら一人で俺を育てて、その母親が先日米軍の兵士が運転する車に追突されて大怪我をした。事故を起こした本人は保護されて本国へ帰国してお咎めなしで、それで俺はただ一人の肉親を失いかけている」みたいな一言がなかなか効いてるなと。セリフはうろ覚えですまんだけど。彼は結局、どういった沖縄の姿が正しかったのか答えは出せない。
一人舞台の練習用の部屋に青年は残され、その中で沖縄民謡や日本語のラジオの放送や英語の放送などが入り混じって聞こえてくる、というシーンで幕を閉じる。

政治色が強い作品であるけど、所々挟んだギャグや和むシーンなどは楽しいし、琉球舞踊の人は本当に本職が琉球舞踊の人なだけあって本格的な舞踊が舞台上で観られたのもおもしろかった。劇中劇のシーンでおばあが舞踊家にお小遣いあげてたのとか、話し合いが始まったときに黒砂糖出して食べてたのは可愛かった。

作中の人物も答えが出せない話ではあるし、見ている方もじゃあどう思いますか?と聞かれても難しいなあ…みたいな返ししかできない話ではある。ただ、劇中で一か所ある意味この物語の答えを言っていると思えるシーンが一か所だけあって、それは劇中劇の終盤でおばあが「もう戦は見とうない」って話し合いから帰ってしまうシーン。他にもまあ、言い分らしいセリフは色々あったけど、究極はこれなんじゃないのかねとは思った。


ちなみにこの演劇、札幌で公演された「12人の怒れる男」を見て着想を得たということで、実際に見ると怒れる男の方は法廷劇で、沖縄人の方はどちらかと言えば政治劇という感じではあるんだけど、両方見ているとなんとなく対応するキャラクターがいるのがわかるのも面白い。
怒れる男の陪審員長と沖縄人の司会とか、怒れる男の4号と復帰論者とか、怒れる男の7号と沖縄人の本土人とか。

それでも作品としてはどちらも全く別物ではあるので作家の頭って面白いなって思ったって話です。




「葉桜とセレナーデ」
演劇シーズンリニューアル後第一回のトリにふさわしい、のと☆えれき。
基本的には能登英輔、小林エレキの二人芝居でちょっとだけゲストが入るという感じ。ゲストはナガムツと福地美乃が交代で。どっちも見たかったけどどちらかしか見れねーよおお…と思って、自分が一番行きやすい千秋楽公演行きました。よってゲストは福地さん。この二人のどっちか選べって無理だよ、究極の選択だよ……。結局選んだけどさ。


エレキさん扮する二十数年前に妻子を捨てたことを後悔して出産間近の実の娘に会いに来たおじさんと、能登さん扮する前者の娘のバイト先の店長である意味父親的存在のおじさんの。その二人が揉めたり、泣いたり、パシリにされたりしながら赤ん坊の誕生を待っているとかそんな話。

バイト先の居酒屋の店長凄い良い人だなー。最初、凄いチャラチャラしてる感じなんだけど、娘のようにかわいがっていたバイトの女の子が出産しそうだって言うんで自家用車で病院まで連れてきて、暖かいほうじ茶何本も買いに行かされたり、実の父親のダメさ具合に初対面なのに本気の説教したり、自分の孫が生まれるみたいにそわそわしたり。
そしてエレキさん扮する実の父親の後悔と何が何でも謝りたいみたいな気迫も凄い。ていうか最初見た時、エレキさん老けた?って思ったくらいだった。この人不思議なんだよね。役によって大きさ変わったりすんの。いや、実際そこまで変わってないだろうけど。こないだ見た時もっと大きかったよね?とか縦に縮んだ?とか割とある気がする。私は。

唯一フルネームが出てくる大石カコというのが二人のおっさんの娘なんだけど、この人も不幸の星の下に生まれたなあ、という感じの人で。父親はほぼ存在していないし、母親も彼女が中学の時に家を出ていくし、唯一の家族だった祖父は早くに死んでしまうし、変なというか危うい感じの男にひっかかるし、と色々凄い。だからこそバイト先の店長夫婦を両親のように思っていたという話は、そこだけは救いがあって良かったなあと思う。


脚本を書いたのは京都の劇団の人らしいけど、この演劇の舞台は北海道でいいらしい。JRの駅があって仕事がなくて海があって…ってどこだろう、と色々考えてしまった。長万部とか稚内とか根室とか?小樽や苫小牧ならいくらでも札幌にいけるだろうしなー。北海道のどこかだろうなーという感じは凄く出ている。ちなみに同じ脚本家の人の別の作品が8月24日とかそこらで札幌市内の違う劇場でやってて、それも気になったけどまあ色々断念。

話を戻すけど、能登さんの台詞が色々いいなあ。「今からでも父親になれよ!一生お父さんって呼んでもらえないかもしれないけど」とか「俺サイコー!」とか。
作品として言いたいことは、人生間違ったり上手く行かなかったり色々あるけど、でも新しい命が生まれるって良いことじゃん、とかそんな感じだろうか。

熱い演劇で面白かった。笑えるところも色々あったし。揉めた末に相撲が始まるのが好きだった。
あとゲストの福地さんが凄く良い味だった。この人の演技も好きなんだよね。千秋楽公演だったので最後にちょっとだけナガムツさんと演出やってる横尾さんが見られたのも嬉しかった。




おわり。


2024年8月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

感想

2024年8月28日(水) 23:21:52



更新は30日か31日にやります。

7月から今月にかけてぼちぼち演劇を見て来たので今日は感想でもやろうと思います。
だらだら長い。



「カラクリヌード」
札幌ハムプロジェクトの公演。大人のおとぎ話系ファンタジーSF。
舞台は未来の日本。資源も国力も乏しくなった日本は戦闘用ロボットの輸出で辛うじて国を維持しており、富裕層は地上6000mの高層ビル「空のクジラ」で暮らし、それ以外の一般人や採掘用ロボット「モグラ」は地下6000mで暮らす。地下では鉄の採掘をするものの、資源は枯渇してきておりモグラはクローンと鉄で生産されるようになる。そんな中、旧式のロボットゼロ助は人間のリコに恋心を抱く。ゼロ助は仕事場の工場長と共に戦地に送られることになるがリコに会うために自らを殺戮カラクリに改造して地下を掘り進む。一方地上6000mに住むリコもゼロ助を呼び掛けるが彼に通信がつながることはない。日々の生活に心を蝕まれたリコは今日も地下に通信する。

とかそんな感じの話…で多分良いような。
実際のところはゼロ助とリコを中心にした群像劇で、ゼロ助の働いている工場の工場長とかリコの友人件使用人(?)のテンコとか、リコの夫である総理大臣とか亡くなったリコの母親まで出てきて物語の情報量そのものは結構多いです。視覚的な要素は凄くシンプルだけど。

かなり独特の作品ではあって、まず舞台にセットはなく役者はほぼ全員上下黒の衣装しか来ていない。で、小道具もほぼなくあるのは作中のキーアイテムである「ホットバッジ」と呼ばれる発行体。見た目は多分ミニペンライト的なもの。このホットバッジは持ち主の生体情報を記録させておくもので且つ通信も可能というアイテム。結婚相手を見つける時などはお互いのホットバッジを近づけると、遺伝情報的にふさわしい相手であればお互いのホットバッジが光る、とそういうものらしい。
ちなみにこの舞台効果音とかも全然なくて役者が口で言っている。音楽は生演奏。今回の舞台はダンサーの人も参加して今までの公演よりも更に完成度が上がったのだとか。ダンサーの人のダンスは確かに上手かった。バレエみたいなポーズしたり、立ち上がる時の所作なんかも目を引く感じ。でも演技もそんなに違和感がなくてその辺も凄いなと思った。

キャストはダブルキャストというよりは同じ構成員でシャッフルしてAキャスト、Bキャストとしているみたいだった。なんとか行けるギリギリの日程で行ってきたけどとりあえずゼロ助が小林エレキ、リコが縣梨恵の日に行ってきた。エレキさんはエレキ節全開というよりは少し抑え気味の演技だった。「人殺し機能を搭載致しましたー!」って言ってるあたりはエレキ節だなあと思った。縣さんの方はリコのイライラする演技とか凄い良かった。「幸せになれって親に呪われたの!」って病んでグチグチ言ってるあたりとか、観客としてはうわーってなる感じとか良かった。ちなみにその辺のうだうだ言ってるのはタネというクローン人間の子に全部ツッコミ入れられるので、イライラして終わりって話ではないんだけどね。タネ可愛い。最後はあっけなかった。リコも文句言いながらも最後は頑張った。

ちなみにこの作品、時系列は結構前後しているし、役者の台詞も全員で叫んでいたりするシーンも多くて分かりづらい部分も多い。ただ、あえてそうしているんだろうなとは思う。役者の力だけで見せる舞台で通常の舞台作品と比べると情報が乏しい分、見ているこちらも凄い真剣に見るし。見ているとものすごいエネルギーを感じる。


で、最後になるけど去年観た同じハムプロの「黄昏ジャイグルデイバ」といい、今回の「カラクリヌード」と言い、多分自分はこの脚本家兼演出家(兼役者)のすがの公って人の作る作品が好きなんだと思う。だから去年仕事の都合等で見られなかったけど「象に釘」やっぱ観とけば良かったなー…というか、いや、あの時は無理だったから仕方がなかったんだけど。
見た目に反してっていうのはあれだけど、作る作品は結構両性的というか中性的な感じがする。女性の描写とか上手いんだよね。「カラクリヌード」のリコといい、ノートンギャラリーってサイトで聞けるボイスドラマの「月の約束」の女子中学生の良い意味で可愛くない感じといい。あと「黄昏ジャイグルデイバ」の主人公の誠の亡くなった友人へのちょっと執着的な思いとか。作品そのものは叙情的でちょっとロマンチックでどこかファンタジックというか。…うーん。ぼんやりしてんな、なんか。


ハムプロまた観たいなあ。
ちなみに札幌以外の公演も結構しているそうで、札幌の劇団では道外でも観劇しやすい劇団の一つかと思う。




「西線11条のアリア」
札幌座の公演。札幌都市伝説風人情物語。
札幌市内で亡くなった人は西線11条の市電の駅においでよ。最後の晩餐と死出の電車が待っているよ、みたいなそんな感じの話。まあ、中盤位のネタバレをあっさり言ってはいるんですが、序盤はともかく中盤まで行くとあー、やっぱりって感じだし、そこが分かってつまらなくなる話でもないので。

主人公は東京から出張で札幌に来たサラリーマン。ループ化前の市電の駅ですすきのに行こうとしたところ、次から次へと人が集まって来るものの、なぜか皆駅で降りてどこへも行こうとしない。しかも市電の駅のコンセントに炊飯器のコードを繋いで米まで炊く始末。気になって宿泊先のホテルに帰れないじゃないか!と最後まで彼らの様子を見届けることにした。そんな札幌の冬のある日のファンタジーを描いた一幕ものの作品。


過去の札幌演劇シーズンでも再演されていて人気の高い作品だということで、以前から気になっていたんだけど結論を言うとこれも観に行って良かった作品だった。泣くよりもクスっと笑ってることの方が多かったくらいだけど、最後まで観ると良い物観たなーみたいな気分になる作品だと思った。
因みにタイトルはバッハの「G線上のアリア」に掛けているようでオープニングとエンディングでは楽団のG線上のアリアが演奏されていた。鍵盤ハーモニカとか入っているし、とんでもなく上手な演奏!というわけではないんだけど、むしろ上手くない方が演劇の作品の温かみみたいのが経調される感じがして良いと思った。エンディングで拡声器で歌う磯貝圭子も良いなと思った。
ちなみに磯貝さんは亡くなった知的障害の弟の見送りに来た姉役。一度弟に炊飯器を渡して帰宅しようとするんだけど、水渡すの忘れたとか言って気になって戻ってきて最後まで見送っちゃうんだよね。

で、なんで炊飯器を持っていたのかというと、亡くなった人達全員で最後の晩餐をするため。ちなみに本当に舞台で米炊いて、本当におかず乗っけてご飯食べる。おいしそうだった。

ちなみにご飯が炊けるまではみんな凄い緩い感じで話をしていて、でもここにいる全員死んだ人なんだと知ると、やっぱり死んだらどうなるのかとかどこに行くのかとかそんな話にもなる。生まれ変わりがあるとしたら何になりたいか、という質問には結局道産子が良いなとか、でも景気悪いしなんでだろうねとか言いながら待ってる訳で。たまに現れる市電クイズとか体を張ったササラ電車とか楽しかった。

いよいよ死出の電車が来た時はやっぱりしんみりするんだけど、自称アーティストのお姉さんがただの結婚詐欺師だったのが分かったり、弟の死因がなんだか間抜けだったりするのが可笑しい。電車はどこへ行くんだろうね。

電車が出た後にサラリーマンと弟を見送りに来た女性は炊飯器に残ったご飯を食べる。女性が亡くなった人たちの食べたご飯茶碗には一粒もお米が残ってないのを見て「悪い人も不注意な人もいたけど、生きているというのはそれだけで立派だと思う」と言うラストシーン。このセリフだけ言ってしまうとちょっとお涙頂戴っぽくも見えるんだけど、それまでの物語があってこその名セリフ、名シーンって感じなのでこの物語のラストとしては最高だなーと思う。創作はこうであってほしいが詰まってるなと思う。


名作プログラムということらしいし、多分また今後再演される可能性はあるんじゃないかと思う。
どこかで観られそうだったら観てください。名作なんで。

1 2 3