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感想

2024年9月8日(日) 22:31:07



先月、札幌演劇シーズンのラストを見届けて来たので残りの感想でも。
サテライトの方はまだやっているけど。カラクリヌードのワークショップ公演もこれからだし、若いキャストのはち切れんばかりの演技が見てえよお…って感じなら今からでもまだ間に合う。自分はとりあえずスケジュール等が微妙で行けなそうだけど。でも見てたらメインプログラムの時と違うキャラクターがいたりして気にはなるんだよね。見比べるの面白そう。

ではとりあえず見て来た残り2作の感想。



「9人の迷える沖縄人~after'72~」
沖縄芸術文化の箱の公演。劇作家の所属などは「劇艶おとな団」と出ているし沖縄芸術文化の箱とはなんぞや、と思って調べてみたらこちらで言うところの北海道演劇財団的なものだということがわかった。ということで多分良いんだよね?

「9人の迷える沖縄人~after'72~」は劇艶おとな団が2016年に沖縄で公演。その後沖縄県内等で話題になり県内外での再演を経て、今回札幌での招待講演になったとかそんな感じだそうです。

演劇の内容は一言で言うとまさしく「沖縄」そのものというか。
1972年の沖縄復帰を目前にしたある日、とある新聞社の一室に無作為に県民が集められた。集められた人々は老婆や有識者や本土人や琉球舞踊家や主婦等様々。その無作為に集められた沖縄の住民たちに本土復帰についてどう思うか、意見交換をしてほしいというのが新聞社の狙い。意見交換会はどんな様子になるのだろうか。というのがざっくりとしたあらすじ。

しかしこれ、この演劇の半分くらいの要素でしかなくて、実はあらすじの部分は劇中劇なんだよね。実は沖縄のある劇団が1972年の本土復帰を題材に演劇をしましょう!という物語で、意見交換会の部分は劇団の練習風景や本番の一部、といった見せ方。
最初は「じゃ、そろそろ休憩にしましょう!」と言った時に突然和気あいあいとするので、どうした?と思ったら途中で見方が分かって、ああそういうことか!と思った。現代の時間軸のところは普通の沖縄あるあるっぽい雑談が中心で、海洋博の話とか、本土復帰後を知っている年代の話とか色んな情報が飛び交っていて面白かった。

で、1972年の劇中劇のシーンと現代のシーンを繰り返しているうちに、だんだんとその境目が合間になっていく。本土復帰前の世界と現代が時間を飛び越えてどんどんつながっていく構成は面白かった。終盤、一人の団員が劇の内容や、本土復帰後の現代はこれで良かったのかという話で他の団員と揉めることになるんだけど終盤の「俺の母親は米軍基地で働きながら一人で俺を育てて、その母親が先日米軍の兵士が運転する車に追突されて大怪我をした。事故を起こした本人は保護されて本国へ帰国してお咎めなしで、それで俺はただ一人の肉親を失いかけている」みたいな一言がなかなか効いてるなと。セリフはうろ覚えですまんだけど。彼は結局、どういった沖縄の姿が正しかったのか答えは出せない。
一人舞台の練習用の部屋に青年は残され、その中で沖縄民謡や日本語のラジオの放送や英語の放送などが入り混じって聞こえてくる、というシーンで幕を閉じる。

政治色が強い作品であるけど、所々挟んだギャグや和むシーンなどは楽しいし、琉球舞踊の人は本当に本職が琉球舞踊の人なだけあって本格的な舞踊が舞台上で観られたのもおもしろかった。劇中劇のシーンでおばあが舞踊家にお小遣いあげてたのとか、話し合いが始まったときに黒砂糖出して食べてたのは可愛かった。

作中の人物も答えが出せない話ではあるし、見ている方もじゃあどう思いますか?と聞かれても難しいなあ…みたいな返ししかできない話ではある。ただ、劇中で一か所ある意味この物語の答えを言っていると思えるシーンが一か所だけあって、それは劇中劇の終盤でおばあが「もう戦は見とうない」って話し合いから帰ってしまうシーン。他にもまあ、言い分らしいセリフは色々あったけど、究極はこれなんじゃないのかねとは思った。


ちなみにこの演劇、札幌で公演された「12人の怒れる男」を見て着想を得たということで、実際に見ると怒れる男の方は法廷劇で、沖縄人の方はどちらかと言えば政治劇という感じではあるんだけど、両方見ているとなんとなく対応するキャラクターがいるのがわかるのも面白い。
怒れる男の陪審員長と沖縄人の司会とか、怒れる男の4号と復帰論者とか、怒れる男の7号と沖縄人の本土人とか。

それでも作品としてはどちらも全く別物ではあるので作家の頭って面白いなって思ったって話です。




「葉桜とセレナーデ」
演劇シーズンリニューアル後第一回のトリにふさわしい、のと☆えれき。
基本的には能登英輔、小林エレキの二人芝居でちょっとだけゲストが入るという感じ。ゲストはナガムツと福地美乃が交代で。どっちも見たかったけどどちらかしか見れねーよおお…と思って、自分が一番行きやすい千秋楽公演行きました。よってゲストは福地さん。この二人のどっちか選べって無理だよ、究極の選択だよ……。結局選んだけどさ。


エレキさん扮する二十数年前に妻子を捨てたことを後悔して出産間近の実の娘に会いに来たおじさんと、能登さん扮する前者の娘のバイト先の店長である意味父親的存在のおじさんの。その二人が揉めたり、泣いたり、パシリにされたりしながら赤ん坊の誕生を待っているとかそんな話。

バイト先の居酒屋の店長凄い良い人だなー。最初、凄いチャラチャラしてる感じなんだけど、娘のようにかわいがっていたバイトの女の子が出産しそうだって言うんで自家用車で病院まで連れてきて、暖かいほうじ茶何本も買いに行かされたり、実の父親のダメさ具合に初対面なのに本気の説教したり、自分の孫が生まれるみたいにそわそわしたり。
そしてエレキさん扮する実の父親の後悔と何が何でも謝りたいみたいな気迫も凄い。ていうか最初見た時、エレキさん老けた?って思ったくらいだった。この人不思議なんだよね。役によって大きさ変わったりすんの。いや、実際そこまで変わってないだろうけど。こないだ見た時もっと大きかったよね?とか縦に縮んだ?とか割とある気がする。私は。

唯一フルネームが出てくる大石カコというのが二人のおっさんの娘なんだけど、この人も不幸の星の下に生まれたなあ、という感じの人で。父親はほぼ存在していないし、母親も彼女が中学の時に家を出ていくし、唯一の家族だった祖父は早くに死んでしまうし、変なというか危うい感じの男にひっかかるし、と色々凄い。だからこそバイト先の店長夫婦を両親のように思っていたという話は、そこだけは救いがあって良かったなあと思う。


脚本を書いたのは京都の劇団の人らしいけど、この演劇の舞台は北海道でいいらしい。JRの駅があって仕事がなくて海があって…ってどこだろう、と色々考えてしまった。長万部とか稚内とか根室とか?小樽や苫小牧ならいくらでも札幌にいけるだろうしなー。北海道のどこかだろうなーという感じは凄く出ている。ちなみに同じ脚本家の人の別の作品が8月24日とかそこらで札幌市内の違う劇場でやってて、それも気になったけどまあ色々断念。

話を戻すけど、能登さんの台詞が色々いいなあ。「今からでも父親になれよ!一生お父さんって呼んでもらえないかもしれないけど」とか「俺サイコー!」とか。
作品として言いたいことは、人生間違ったり上手く行かなかったり色々あるけど、でも新しい命が生まれるって良いことじゃん、とかそんな感じだろうか。

熱い演劇で面白かった。笑えるところも色々あったし。揉めた末に相撲が始まるのが好きだった。
あとゲストの福地さんが凄く良い味だった。この人の演技も好きなんだよね。千秋楽公演だったので最後にちょっとだけナガムツさんと演出やってる横尾さんが見られたのも嬉しかった。




おわり。


感想

2024年8月28日(水) 23:21:52



更新は30日か31日にやります。

7月から今月にかけてぼちぼち演劇を見て来たので今日は感想でもやろうと思います。
だらだら長い。



「カラクリヌード」
札幌ハムプロジェクトの公演。大人のおとぎ話系ファンタジーSF。
舞台は未来の日本。資源も国力も乏しくなった日本は戦闘用ロボットの輸出で辛うじて国を維持しており、富裕層は地上6000mの高層ビル「空のクジラ」で暮らし、それ以外の一般人や採掘用ロボット「モグラ」は地下6000mで暮らす。地下では鉄の採掘をするものの、資源は枯渇してきておりモグラはクローンと鉄で生産されるようになる。そんな中、旧式のロボットゼロ助は人間のリコに恋心を抱く。ゼロ助は仕事場の工場長と共に戦地に送られることになるがリコに会うために自らを殺戮カラクリに改造して地下を掘り進む。一方地上6000mに住むリコもゼロ助を呼び掛けるが彼に通信がつながることはない。日々の生活に心を蝕まれたリコは今日も地下に通信する。

とかそんな感じの話…で多分良いような。
実際のところはゼロ助とリコを中心にした群像劇で、ゼロ助の働いている工場の工場長とかリコの友人件使用人(?)のテンコとか、リコの夫である総理大臣とか亡くなったリコの母親まで出てきて物語の情報量そのものは結構多いです。視覚的な要素は凄くシンプルだけど。

かなり独特の作品ではあって、まず舞台にセットはなく役者はほぼ全員上下黒の衣装しか来ていない。で、小道具もほぼなくあるのは作中のキーアイテムである「ホットバッジ」と呼ばれる発行体。見た目は多分ミニペンライト的なもの。このホットバッジは持ち主の生体情報を記録させておくもので且つ通信も可能というアイテム。結婚相手を見つける時などはお互いのホットバッジを近づけると、遺伝情報的にふさわしい相手であればお互いのホットバッジが光る、とそういうものらしい。
ちなみにこの舞台効果音とかも全然なくて役者が口で言っている。音楽は生演奏。今回の舞台はダンサーの人も参加して今までの公演よりも更に完成度が上がったのだとか。ダンサーの人のダンスは確かに上手かった。バレエみたいなポーズしたり、立ち上がる時の所作なんかも目を引く感じ。でも演技もそんなに違和感がなくてその辺も凄いなと思った。

キャストはダブルキャストというよりは同じ構成員でシャッフルしてAキャスト、Bキャストとしているみたいだった。なんとか行けるギリギリの日程で行ってきたけどとりあえずゼロ助が小林エレキ、リコが縣梨恵の日に行ってきた。エレキさんはエレキ節全開というよりは少し抑え気味の演技だった。「人殺し機能を搭載致しましたー!」って言ってるあたりはエレキ節だなあと思った。縣さんの方はリコのイライラする演技とか凄い良かった。「幸せになれって親に呪われたの!」って病んでグチグチ言ってるあたりとか、観客としてはうわーってなる感じとか良かった。ちなみにその辺のうだうだ言ってるのはタネというクローン人間の子に全部ツッコミ入れられるので、イライラして終わりって話ではないんだけどね。タネ可愛い。最後はあっけなかった。リコも文句言いながらも最後は頑張った。

ちなみにこの作品、時系列は結構前後しているし、役者の台詞も全員で叫んでいたりするシーンも多くて分かりづらい部分も多い。ただ、あえてそうしているんだろうなとは思う。役者の力だけで見せる舞台で通常の舞台作品と比べると情報が乏しい分、見ているこちらも凄い真剣に見るし。見ているとものすごいエネルギーを感じる。


で、最後になるけど去年観た同じハムプロの「黄昏ジャイグルデイバ」といい、今回の「カラクリヌード」と言い、多分自分はこの脚本家兼演出家(兼役者)のすがの公って人の作る作品が好きなんだと思う。だから去年仕事の都合等で見られなかったけど「象に釘」やっぱ観とけば良かったなー…というか、いや、あの時は無理だったから仕方がなかったんだけど。
見た目に反してっていうのはあれだけど、作る作品は結構両性的というか中性的な感じがする。女性の描写とか上手いんだよね。「カラクリヌード」のリコといい、ノートンギャラリーってサイトで聞けるボイスドラマの「月の約束」の女子中学生の良い意味で可愛くない感じといい。あと「黄昏ジャイグルデイバ」の主人公の誠の亡くなった友人へのちょっと執着的な思いとか。作品そのものは叙情的でちょっとロマンチックでどこかファンタジックというか。…うーん。ぼんやりしてんな、なんか。


ハムプロまた観たいなあ。
ちなみに札幌以外の公演も結構しているそうで、札幌の劇団では道外でも観劇しやすい劇団の一つかと思う。




「西線11条のアリア」
札幌座の公演。札幌都市伝説風人情物語。
札幌市内で亡くなった人は西線11条の市電の駅においでよ。最後の晩餐と死出の電車が待っているよ、みたいなそんな感じの話。まあ、中盤位のネタバレをあっさり言ってはいるんですが、序盤はともかく中盤まで行くとあー、やっぱりって感じだし、そこが分かってつまらなくなる話でもないので。

主人公は東京から出張で札幌に来たサラリーマン。ループ化前の市電の駅ですすきのに行こうとしたところ、次から次へと人が集まって来るものの、なぜか皆駅で降りてどこへも行こうとしない。しかも市電の駅のコンセントに炊飯器のコードを繋いで米まで炊く始末。気になって宿泊先のホテルに帰れないじゃないか!と最後まで彼らの様子を見届けることにした。そんな札幌の冬のある日のファンタジーを描いた一幕ものの作品。


過去の札幌演劇シーズンでも再演されていて人気の高い作品だということで、以前から気になっていたんだけど結論を言うとこれも観に行って良かった作品だった。泣くよりもクスっと笑ってることの方が多かったくらいだけど、最後まで観ると良い物観たなーみたいな気分になる作品だと思った。
因みにタイトルはバッハの「G線上のアリア」に掛けているようでオープニングとエンディングでは楽団のG線上のアリアが演奏されていた。鍵盤ハーモニカとか入っているし、とんでもなく上手な演奏!というわけではないんだけど、むしろ上手くない方が演劇の作品の温かみみたいのが経調される感じがして良いと思った。エンディングで拡声器で歌う磯貝圭子も良いなと思った。
ちなみに磯貝さんは亡くなった知的障害の弟の見送りに来た姉役。一度弟に炊飯器を渡して帰宅しようとするんだけど、水渡すの忘れたとか言って気になって戻ってきて最後まで見送っちゃうんだよね。

で、なんで炊飯器を持っていたのかというと、亡くなった人達全員で最後の晩餐をするため。ちなみに本当に舞台で米炊いて、本当におかず乗っけてご飯食べる。おいしそうだった。

ちなみにご飯が炊けるまではみんな凄い緩い感じで話をしていて、でもここにいる全員死んだ人なんだと知ると、やっぱり死んだらどうなるのかとかどこに行くのかとかそんな話にもなる。生まれ変わりがあるとしたら何になりたいか、という質問には結局道産子が良いなとか、でも景気悪いしなんでだろうねとか言いながら待ってる訳で。たまに現れる市電クイズとか体を張ったササラ電車とか楽しかった。

いよいよ死出の電車が来た時はやっぱりしんみりするんだけど、自称アーティストのお姉さんがただの結婚詐欺師だったのが分かったり、弟の死因がなんだか間抜けだったりするのが可笑しい。電車はどこへ行くんだろうね。

電車が出た後にサラリーマンと弟を見送りに来た女性は炊飯器に残ったご飯を食べる。女性が亡くなった人たちの食べたご飯茶碗には一粒もお米が残ってないのを見て「悪い人も不注意な人もいたけど、生きているというのはそれだけで立派だと思う」と言うラストシーン。このセリフだけ言ってしまうとちょっとお涙頂戴っぽくも見えるんだけど、それまでの物語があってこその名セリフ、名シーンって感じなのでこの物語のラストとしては最高だなーと思う。創作はこうであってほしいが詰まってるなと思う。


名作プログラムということらしいし、多分また今後再演される可能性はあるんじゃないかと思う。
どこかで観られそうだったら観てください。名作なんで。

感想

2024年8月2日(金) 23:40:00

イベントもしばらくないし、たまには感想文でもやろうかと思います。てがろぐに変えてからそういえば必要なこと以外は特に何も言ってなかったし、以前資料用に見た空海の映画やこけら落としの演劇等も面白かったのでたまにはそういう話でもしようかと思った。

感想長くなるので先に言っておこう。
一時的につないだ二次の方かもしれないけど、wavebox応援ありがとうございます!



じゃ、以下感想文。長い。


「空海」(映画)
1984年制作のやつです。北大路欣也主演で平安京遷都から空海入定までを描いた映画。
真言宗がバックアップをしたのかそれとも発案者なのかは実際よくわからないけど、お金はだいぶ出してくれたそうです。そういった事情もあったのか、それともそういう時代だったかはわからないけどキャスティングは豪華だし、中国ロケやったりきっちりセットも作ったりして邦画にしてはスケールが大きい作品だと思った。中国ロケのシーン凄かった。あれ商店とか並んでいる通り貸切って撮影したんだろうか。人ぎちぎちにいたんだけどあれ全部エキストラなのかなー。断崖を歩くシーンとかも凄かった。空海は基本的には元気いっぱいだった。

あとキャスティングは映画あんまり見ない私でもわかるような森繁久彌とか丹波哲郎とか出てくるんですよ。とはいえ、自分が知らない俳優の方が多いんですけども皆存在感があって凄い上手いんだよね。特にいいなと思ったのは薬子役の小川真由美。目が泳いでる演技とか、おお!って思ったし最後に自害するシーンは本当に痛そうだった。泰範役の佐藤祐介も最澄に「空海の弟子になりたい」って伝えるシーンのひりひりした感じが良かった。

ストーリーの方は面白いし凄いと思うところも沢山あるんだけど、ツッコミどころも結構多かったのは惜しいと感じた。いかにも大作なのにどうしてそうなったみたいな。昭和の仮面ライダーかウルトラマンみたいな特撮シーンが突然入ったり、火山の噴火のシーンの抱き合えーのところとか普通に雑コラにしか見えなくて、たしかにCGはなかったかもしれないけど…けど…みたいな。まあ、映像があれなのもそうなんだけど、抱き合えーのシーンはそれ抜きにしてもなんか笑ってしまったけど。
でも避難の際に子供が死んでしまった女性に「死んだ子は諦めろ。子はまた作ればいい」みたいなセリフは今じゃもうきっと言わせられないんじゃないかな、等と思った。コンプラ的に。その時代の人たちの必死な感じが伝わってきて、あのシーンの台詞としてはふさわしいと思うけどね。

ちょっとダイジェストっぽさもあるにはあるけど、映像が凄いし役者の演技はキレッキレだし映画としては楽しかったです。歴史大作見たー!って感じはある。あと、役者の演技で思ったんだけどモブは女性の演技が凄く良いと思った。なんかすごく品があるんだよね。当時の民衆がどうだったかはわからないけど、歴史ものとしてみる時こういう要素は大事だなと思った。あんまり現代っぽいとコスプレっぽく見えてしまうし。

見終わってから出ていた役者の人の経歴等調べてみたけど、いつの間にかメディアに出てこなくなりその後ひっそり亡くなっていたとか、スキャンダル漬けになってフェードアウトしてしまったりとか、役者も色々大変だなあとは思った。
あと、他の人のレビュー等も見てみたら意外とエロかったと言ってる人もいて、それについては「わかる」と思った。




「あっちこっち佐藤さん」(演劇)
札幌の北八劇場のこけら落とし舞台です。戯曲はレイ・クーニー作。原題は「Run For Your Wife」。
ELEVEN NINESで過去にも何度か再演していて評判がいいのは知っていたので、凄い楽しみにして行ってきた。結果的にはもうしばらくこんなに笑わないよってくらい笑ってきたけどね。めちゃくちゃ楽しかったです。
公演パンフには倉本聰に古いと言われた、とあった。確かに固定電話に電話がかかってくるとかそういうネタは古いのかなと思ったけど、15年前の2009年の設定でやってたし劇そのものが面白かったから気にならなかったな。

巡査役以外は基本的にどの役もダブルキャストだったけど一回見たら他のもみたくなってしまうなこれ、とは思った。いつもより高めのチケットだったので結局1回しか行かなかったけど。普段もダブルキャストどっちも見るとかできてないしまあいいか。

主役がオクラホマ藤尾、タロウ役が箕輪直人の日に行ってきた。
ストーリーとしては主人公のタクシードライバー佐藤ヒロシには実は2人の妻がいる。ヒロシはそれぞれの妻の家を行ったり来たりしながら暮らしていたけど、ある日強盗に襲われた女性を助けたことで警察に事情聴取をされることになってしまった。しかも新聞にも載るらしい。このままでは2拠点生活がバレてしまう。どうしようと頭をかかえるヒロシ。そんなヒロシの前に、事情を聞こうとしたり助けようとしたり入れ替わり立ち代わり様々な人が現れるが、なぜか皆苗字は佐藤さんだった、みたいな話。

全体的にはドタバタ劇なので一連の物語を説明するのは難しいんだけど、ちょこちょこ出てくる人達が皆面白いし道民おなじみの小ネタとかも凄い楽しかったです。それにしても北33条西33丁目から南33条東33丁目(逆かも)って相当する住所はないけど、あるとしたらだいたいこの辺かって想像すると結構距離離れている気がしてヒロシ凄いなと思った。

劇中の好きなネタは色々あるけど、「どっどどどうどどどうどどどう これ風の音なんだぜ」とか、心の綺麗な人にしか見えないゴワスとか、公開説教はじめてみるも私の携帯の音だったとか、何で笑っていたかもう思い出せないことも沢山あるけどなんかずっと笑ってたね。いいね、笑えるお芝居って。
巡査長は小島さんのも見たかったけど、とりあえず1回って感じなら…ということでエレキさんの方を見て来た。凄い走ってたけどせんべいとかおかき食べてたね。キャラ的にはズーズー弁の犬のおまわりさんって感じだった。

新聞記者二人は変な雰囲気だなと思ってたらラストで二人ともオネエだったのが面白かった。あと、何かあるごとにぴょんぴょん跳ねてたハナコが可愛かった。

見に行ってよかった。帰りに職場の佐藤さんが通りがかったのを見た。本当に。