memo
2024年11月12日(火) 23:11:03
読んでも読まなくても別に困らないような10月新刊「レラカムイ」のおまけ的な話。
アイヌ民話、神話系で登場する英雄神で真っ先に名前が挙がるのはおそらくオキクルミだと思います。オキキリムイ等の表記の場合もあるし、諸説あるるけどアイヌラックル(人間くさい神の意味)と同一視される神とのこと。アイヌ創世神話並びにアイヌラックルの一連の物語は平凡社ライブラリーの「カムイ・ユーカラ(山本多助著)」に詳しく乗っているので興味がある方はそちらを読まれると良いです。私の説明だと分かりづらいと思うし。
ところで、このオキクルミが北海道全域で一番の英雄神とされているのかというとそうではなくて、東西で違いがあるそうです。どこを起点にしているかは判然とはしないけど(日高山脈だろうか)大まかに西側の英雄神はオキクルミ、東側の英雄神はサマイクルになる。で、物語の中にはオキクルミとサマイクル二人ともが出てくる話もあって、オキクルミが偉い地方の話ではサマイクルは愚か者に、逆にサマイクルが偉い地域の話ではオキクルミが愚か者になるわけです。
色んな話を読んでいると登場人物のオキクルミとサマイクルの名前を入れ替えただけの話もたしかあって、元の話の成立は西か東かはわからないけど人の移動と共に物語も移動してるのが分かるのは面白いです。
ちなみにアイヌ民話の小話的な物も読んでいると日本神話の因幡の白兎なんかもあったりして、なんかケルト神話のオシーンの話と浦島太郎が似ているとかいう話も伝言ゲームという意味では一緒なんだろうなと思ったりはします。アイヌ民話の方も元々は中国やインドの話が元ではないかと思われているものも一部あるらしいし。
アイヌ関係を調べると英雄神と言えばオキクルミ的な感じになってしまうのは、おそらくアイヌ関係の知識人の有名どころが西側出身で自然と西側の物語が多く集まったからではないかと思います。知里姉弟然り萱野茂然り。
今回資料として使った本の編者の更科源蔵は東側の方の民話等を収集していた人で、今回の作品の元の題材の話も北見市で収集した話でした。道東の方はなかなか取材に行けないし伝承もある程度は移動はしているであろうから、できる範囲でということで中央部の話にすることにしたということです。安易に茅葺のチセを描いたりしないとか、その辺は気を付けたんですが。
あんまり長くなるとくどいし読む気もなくなると思うのであとは資料関係の話をざっくりして終わるけど、アイヌ関係の図録っていうのがあんまりなかったりするんですよね。以前函館の北方民族資料館で手に入れたのが2800円くらいだったけど凄く良かったので、お勧めしたいんだけど久しぶりに資料館のサイトを見たら存在すらなくなっていたので多分売り切れたのだと思う。残念だ。
ただ、北方民族資料館の冊子で「アイヌ風俗12か月屏風」っていうのはあるのでこっちをお勧めしておく。アイヌ絵の資料って基本高いんだよ。学術系資料しかなくて。あとは変な何…トンデモ本的なやつが出てきたりするから私はお勧めしない。函館の北方民族資料館の「アイヌ風俗12か月屏風」は300円だ。資料館に電話やメールで連絡すると遠方の人でも買えるらしいです。ついでに「アイヌ衣装の世界」ってやつも買ったらいいと思う。私が行った時はこれはなかったから持ってないけど。
安いけど意外と使えるかもと思ったのは白老の陣屋資料館で売ってる100円資料。「白老町の文化財ガイドブック」ってやつ。これで君も白老博士だ。まあ、そんなこと書いてないけど。は、いいんだけどこれ陣屋資料館じゃないと買えないんだよね。資料館はちょっと行きづらい場所にあるのでウポポイや駅の近くの物産館のポロトミンタラでも売ってくれたらいいと思う…実は売ってるのか?こっちも電話したら遠方の人でも売ってくれるんじゃないかな。まあ、やってみてくれ。健闘を祈る。
文章が長くなってしまったし落書きでも置いておこう。
ちなみに子供の髪型は北見方面だともう少し、前髪と後ろの髪の間の剃ってある場所の面積が狭い感じらしい。形はこれと一緒だけど。
wavebox絵文字ありがとうございます!